オンライン住まいイベントvol04(最終回) 終了

2020年12月14日

「住まい」をテーマにしたオンライン勉強会(全4回シリーズ)の最終回が終了しました。

東京の新倍会場に集まった移住希望者や出身のみなさま

最終回は、『空き家のDIY事例紹介』『酒井一級建築士と語る』の2本立て。

空き家の写真や、DIY事例をみながらざっくばらんに奄美の住まいを語りました。


台風に対応した奄美の住まい、ハブやシロアリ、自治体や集落によって大きく異なる下水処理方法や、インターネット回線の引き込み期間や費用など幅広い意見交換となりました。

そして、酒井一徳建築士にはさらに専門的な質問も飛び出しましたが、すべて丁寧に、分かりやすく答えていただきました。

酒井一徳一級建築士

●主な質問と回答はこちら

Q.奄美大島の賃貸事情を教えてください
A.奄美市の中心部は特に需要が高く、家賃はオーナー主導で決まる。正直、スペックに対して鹿児島市内より高い。1Rで5万円程度だと、給湯器がお風呂の中についている、足が延ばせないほど狭いバスタブ、シングルレバーの給湯、エアコンなし、は少なくない。しかも、6割7割が古い物件。退去と同時に新しい入居者が決まっていることがほとんどなので、設備も更新されない。
数は限られるものの、島の田舎の小さな集落の一軒貸しは3万円~5万円前後で流通している。

Q.新築と空き家改修どちらがおすすめ?
A.(新築事情)奄美大島の施工会社の施工技術は、内地と遜色ないレベルの高さ。ただ奄美大島、徳之島以外の島は、新築需要だけでは会社を維持できないため建築施工業者が土木や農業と兼業している業者がほとんど。また島での活動が忙しいときには、現場がストップすることがあり、監理者としては大変なことも多い。また、人材不足の職種は、島外から補っている。サンゴがでできた島は、急に大きな穴が開くなど地盤を整備するのに思わぬ費用がかかることがあるなど島によって建築事情は大きく異なる。
新築で注意してほしいのは、建築費用は安くてもその後のメンテナンスに予想外の費用がかかること。建築費を抑えるために安価な材を使うため5年後、10年後にボロが次々と出てきて、トータルコストが高くなることもある。
(空き家改修)昔ながらの家は、ピンからキリ。専門的な話をすると、多くは束石基礎で現在の建築基準法の適用外であり、耐力壁として構造計算できない。これまで家が保たれてきたことを考えればあったほうが良いのだろうと思う。建築士として、あったほうが良いかどうかの判断はつきかねる。正直、ひとつひとつの物件に対して対応するしかなく、マニュアルできるほど単純なものではない。見積もりから大幅に増額になるのはやむを得ないともいえる。空き家のリノベーションは、業者に頼むのではなく、自分好みにDIYすることをおすすめしたい。それを楽しめるかどうか。
本当に理想の家を手に入れたいと思ったら、総合的に新築をお勧めする。
(各島の空き家の状態)各島の空き家を見てきたが、喜界島の空き家が一番状態がよかった。集落で管理している印象がある。

Q.奄美の不動産物件に方位の記載がないのはなぜか?
A.不動産会社数社に聞き取りした結果、「(顧客の中心である島の人にとって)必要性がない。」「そもそも細かい情報はあまり意識がない。」「現場で確認すればわかる。」という理由が主な理由。

Q. 地震・津波のリスクはあるか?

A.もちろんある。
(地震)特に埋め立て地は地震による液状化の可能性が高いため、家を建てる場合は地盤調査を必ずして欲しい。特に、どこから持ってきた土で埋め立てられたかによって強い地盤とそうでない地盤がわかれる(地名はここでは伏せます)。
(津波)ビーチフロントは素敵だけど、リスクは高い。ビーチフロントの土地を購入する場合は、避難できる場所(高台)への経路があるかが重要。
(急傾斜地)このほか奄美大島は急傾斜地が多いためがけ崩れのリスクも高い。最近は、琉球松が松くい虫で枯れて根を保持できなくなって、土砂崩れが起きてる。豪雨も多いので、これまで土砂崩れがなかった場所も注意が必要。鹿児島県のハザードマップや各自治体の窓口で急傾斜地をチェックして欲しい。
(河川の氾濫)河川の改修工事をしている箇所でも、すべて基準を持って改修工事を行っているので、基準を確かめておくと良い。

Q. 建築・改修するにあたって奄美の特殊事情などはあるか?
A.都市計画区域が限られてくるのが特徴です。そのため4号建築(200㎡以内の住宅、木造平屋住宅に限り)建築確認申請が不要です(その他の用途、規模、構造の建築物は、基本的に建築確認申請が必要になります)。裏を返せば、好きに建築できてしまうということでもあり、中古物件を購入するときなどは注意が必要です。
ある程度費用をかけた改修、新築の場合は、建築士などの専門家にアドバイスを受けることをお勧めします。

Q. 東南アジアのように竹で編んだような家は奄美に適さないか?
A.1年前、バンブー建築を視察したが、日本で構造的用途で使用する為には建築基準法を満たすのにかなりハードルが高いものです。東南アジアなどで使われている竹を構造体にした多くの建築は、竹のなかにコンクリートを流し込み結合部は金物という構造体で、日本での実現は、気候、基準法、施工面含めあまり現実的とはいえない。

1月、2月にDIY実況中継を実施予定です。お楽しみに。

主催:
あまみ空き家ラボ(特定非営利活動法人ねりやかなやレジデンスから名称変更中)
旅するうなぎのねどこ
AMAMIパブリックリレーションズ株式会社
後援:龍郷町、和泊町
※本事業は令和2年度地域の空き家等の流通・利活用に関するモデル事業の助成を受けて実施しています。

ご不明な点などございましたら、お気軽にお問合せ下さい。

NPO法人ねりやかなやレジデンス
佐藤理江
070-6656-0278
info@npo-nr.org