<イベント報告>沖永良部島で農業にチャレンジ!

2018年6月18日

農業の人手不足が深刻になりつつある沖永良部島。
そこで、ひとりでも多くの人に沖永良部島のことや農業のことを知ってもらおうと、6月16日(土)、東京でイベントを開催しました。

参加者は、17名。
農業アルバイトをしている方のほか、沖永良部島に移住したい、沖永良部島に行ってみたい、何度も行っている島のことをもっと知りたい、島の農業や移住をテーマに卒論を書きたいという学生など、バラエティに富んだメンバーとなりました。

イベントには、この時期つかの間の休息中の農家の方にお越しいただき、島の農業をリアルに伝えていただきました。(写真:鈴木賀津彦さん)

左:安田敏江さん 右:有馬清美さん

笑いあり、涙ありの6時間は、お二人のお話であっという間に過ぎていきました。

まずは、沖永良部島をドローン映像で紹介。

さらに、沖永良部島の農業を全国や鹿児島県、奄美群島と比較しながら紹介。


沖永良部島と農業の簡単な紹介の後は、島からお越しいただいたパワフル母ちゃんの登場です。
じゃがいも(畑の面積は7ha)を生産する安田敏江さんと、

菊(畑の面積は1.4ha)を生産する有馬清美さん。

ふたりは同級生。

幼いころから農業の大変さを見てきたふたりは、農家の嫁にだけはならないと強く心に決めていたそうですが、たまたま好きになった男性が農家だったの!恋は盲目ね!と嬉しそうに農家の嫁になった経緯を話してくれました。

おふたりとも「土づくり」へのこだわりが強く、安田さんはカヤを土に漉き込み微生物を育て、微生物の力で土を肥やします。
なんと、奥さんの敏江さんがパワーショベルでカヤをトラックに乗せ、それをご主人が畑に運搬。ふたりの絶妙なコンビネーションで土づくりが進みます。
微生物が生み出すふかふかの土は、美味しいじゃがいもをつくるだけでなく、土がじゃがいもからはがれやすくなり、収穫作業のスピードが早くなるそうです。通常1日1~2トンの収穫量が、7トンまで収穫できることもあるそうです。だから、高値のときに一気にうることもできるのだとか。

 

有馬さんは、土づくりにもみ殻と自家製の菌を使います。
ご主人が「現代農業」を参考に、スーパーで購入した納豆やヨーグルト、イースト菌を混ぜ合わせ、そこにエサとなる糖蜜を加えたものを畑に入れます。土づくりにこだわりはじめてから、菊の品質も良くなり、花持ちも良いと評判になったそうです。
輪作障害を避けるために植えるグラジオラスも、多くの農家が花を出荷した後の球根を何年か使用するなか、有馬さんは毎年球根を購入するとのこと。大きさも揃っていて、品質のバラツキも少ないことから、植え付けや収穫作業が楽なうえ、品質の良いものができ、球根の経費を含めても利益率は変わらないから、なのだそうです。

土づくりのこだわりを熱く語る有馬さん

【苦しいこともあるなか農業を続ける理由】
「儲かった」といえるのは、片手で数えるばかりだといいます。
でも、苦しいことや悲しいことがあっても農作業に没頭することで忘れることができ、そして何より自分たちが頑張った分だけ作物は答えてくれる。ほんとにいいものができたときの感動はひとしおだといいます。

【夢】
そんなおふたりには、大きな夢がありました。
安田さんは、花や自然に囲まれて幸せな余生を楽しめるための施設を自分の土地に作りたいと思っているそうです。そして、多くの人に「あの世で幸せに暮らす前に、動けなくなってもこの世で幸せに暮らす人を増やしたい!」といいます。
有馬さんも、ガーデニングが趣味。自宅前の畑に花を植え、休憩場所を作り、近所の人たちが集える公園にしたい。目指すは、ターシャおばあちゃん!

最後に、参加者から寄せられた質問に答えていただきました。
新規就農したいという方には、島の人も虎視眈々と農地が空くのを待っている状況のなかでは移住者が農地を借りることが難しいこと、ハウスや農業機械などかなりの準備金がないと借金だけ背負うことになり島を離れる移住者も多いこと、アルバイトや社員として農家で働きながら頑張っていればおのずと農地もついてくるというアドバイスがあり、会終了後もずっと相談に乗っている姿はとても印象的でした。

このほかにも、一日の暮らし、一年の暮らしの紹介、農業のほかにやっていることとして「民泊」を始めたことなどご紹介いただきました。

続いて、沖永良部島の人材を渇望している農家さんを紹介。実際に農家で農作業体験した学生から作業を通じて学んだことを紹介いただきました。

農家のリアルな現場をご紹介いただいたあとは、参加者の方と一緒に、「どうしたら、沖永良部島に農業しに来る人を増やせるか」を考えました。
3班に分かれ、ターゲットを決め、アプローチ方法を考えてもらいました。

実際に沖永良部島で農業アルバイトをしてきた方がいた班が設定したターゲットは、「音楽が好き、自然がすきな若者」
自身の農業アルバイト経験からこのターゲットを設定したとのこと。
「農業をしましょう!」という呼びかけだけは、なかなか人は集まらない。
全国農業アルバイトをしながら、沖永良部島は「音楽」「自然」がほかの地域との差別化のポイントだと確信。

”島の音楽祭”を開催し、農業する人には、農業以外の魅力を付加することで行ってみたくなるように、そもそも沖永良部島を知らない人には、まず島に足を運んでもらえるようにし、音楽祭のなかで農業との交流の機会をつくるという提案です。
また、農業人材を集めるためには、まだまだ現場の情報が少なすぎ。農家を動画で紹介したり、アルバイトの体験などの情報を発信していくことが最初の取り組みでは、との指摘もありました。

意識高い系学生をターゲットにした班は、農業をテーマにしたビジネスコンテストが有効と指摘。広く募集するために、島にルーツがありPR力の高い平愛梨(旦那が、サッカー選手の長友佑都)を広告塔に起用し、コンテストの情報、沖永良部島の農業をSNSでつぶやいてもらうことが提案されました。

大学と企業をターゲットにした班は、働き方や組織・人づくり改革が進む企業や大学と連携して、継続的なしくみを作ることで、継続性の担保も高まるのではないかという提案。
「働き方改革」が問われる企業は、社員のコミュニケーションを活性化し、組織としての団結力を強固にするための研修が行われており、そうした企業へのサービスとして、「農業を通じた人づくりや組織づくり研修」を売ることができる。
大学の現場を良く知る方からは、受け身の人間が増えるなか、自分で考え行動する人材を育てるためのカリキュラムが増えつつあること、ある大学では4月から7月までの期間、留学やインターンシップなどのプログラムに参加することで単位を付与する科目も設置されており、農業を人材育成プログラムとして構築して、大学に紹介してみてはどうか、とのアドバイス。

学生からは、「ほとんどの学生が自分から情報をとりにいくことはしない。」という実態をつきつけられました。しくみをつくり、そこに乗っかれば良いという環境をまず作ってもらえば、学生は参加するとのこと。
この班では、参加者同士が「島に人を呼び込むプロジェクトを立ち上げよう」と盛り上がりました。

そして多く指摘されたのは、「農家の動画配信など、農家のコンテンツを充実させること」、「都市部で、沖永良部島のことを知ってもらう機会を増やすこと(今回のように東京で農家つながるイベントなど)「農業でなくても良いので島に足を運ぶきっかけをつくりそのなかで農家との接点をつくる(海、ケイビングはトリガー)、でした。

2時間を超す会合を終え、懇親会へと移りました。
島の食材を使った母の手料理やお酒が並びます。

お母さんとの会話が弾む弾む!(こういうときは、写真を撮り忘れます)

島らっきょうのおかか和え
さといもとインゲン豆の煮もの
ポテトサラダ
インゲン豆の天ぷら
ゴーヤ、島かまぼこ、きくらげのチャンプルー
じゃがいものお好み焼き
定番の肉じゃが
タイモの煮物
沖永良部酒造の黒糖焼酎 10年貯蔵がおいしすぎ!

参加者:もっと話をしていいですよね!?

主催者:もう22時ですけど・・・(苦笑)

名残惜しいですが、やっとのこと集合写真を撮り、解散となりました。

この写真の大半の方が、近いうちに島に足を運んでくれることにになりそうです。

農業の人材の確保に向けては強力な宣伝マンになってくださることは間違いないでしょう。

◇◆Special Thanks◆◇
さといも 芋高花卉農園様
じゃがいも 新田農園様、皆村農園様
黒糖焼酎 沖永良部酒造株式会社様
沖永良部島のドローン映像 田仲稔淳様
島料理提供 安田敏江様、有馬清美様